Ph.D.

修士課程(Master)と博士課程(Ph.D.)

アメリカの大学院は、日本のように修士2年+博士3年、ではない。

同じように修士と博士には分かれているのだが、修士課程は修士のみを希望する学生が行くところだ。

研究をしたい学生は、修士課程を経ずにいきなり博士課程に入学できる。

ただし、博士課程に行きたくても、実力が足りないとか学部の成績が悪くて直接博士課程には受かりそうもないような場合には、初めに修士課程に行きその後博士課程に行くことも出来る。


色々調べた限りだと、最上位クラスの大学には、Master が(事実上)存在しないことも多い。

例えば、覚えているのだと、University of Wisconsin Madison のホームページには

「基本的には Ph.D. 志望の学生しか取りません。Master のみを希望する学生は非常な例外を除き admit しません。」

と書いてある。

レベルが下がれば下がるほど、Master 課程が設置されている傾向にある。中には、Masterのみしかない大学も存在する。

一般に、アメリカの修士課程ではそこまで高度なことは学ばず、いわば「大学5,6年生」といった感じらしい。


・・・そういえば、日本にはアメリカ大学院留学を斡旋する会社もいくつかあるが(有名なのでは例えば「栄陽子留学研究所」など)、それらは全てこの修士のプログラムへの斡旋を行っている。

 (ちなみに、Ph.D. 課程への留学の手引きをしてくれる会社はおそらく存在しない。Ph.D. に留学をする学生は年間300名にも満たないからビジネスにはならないはずだ。)


また、中には

「Ph.D.に行くにはまだ実力が足りないという場合は、一旦修士に入ってもいいですよ」

という大学もある。

というか、修士と博士をどちらも設置している大学は、大半がこのタイプだろう。


・・・で、financial assistance はというと、Ph.D. の大半の学生は学費免除+生活費が貰える。

(ただし、必ずというわけではない。合格はしても financial assistance はもらえない、もしくは一部しかカバーしてもらえない場合もある。そのような場合は一年目の成績が良いと2年目からもらえたりする。とにかくアメリカはこの国と違ってすごく flexible だ。)

Master の学生は、ごくごく一部の例外を除き financial assistance は皆無だろう。


さて、では日本から留学する場合だが、旧帝大クラスの大学出身で、大学4年間で英語、専門をしっかり勉強し、かつ成績も良ければいきなり Ph.D. に入ることは十分可能だ。

また、別に旧帝大クラスでなくとも、4年間でしっかり努力したなら、これも特に問題なくPh.D.に行ける、と思う。


何か問題があっていきなりPh.D.は目指せない、という場合は、日本の修士に入るかまたはアメリカの Master に入れば良いだろう。

(個人的には、このケースの人にはアメリカの方の修士を薦めます。日本の大学院は正直あまり薦めません。これはまた今度書きます。)

POSTED COMMENT

  1. なかざわ より:

    過去の貴重なブログを残していただきありがとうございます。現在、日本の学部4年生で新年度から同じ大学の大学院に進学し、2年後に海外大学院にアプライするつもりでいる者です。今は大学の勉強とTOEFLの勉強をしています。日本の大学院はあまりおすすめしないと書かれていますが、具体的にどのような理由でおすすめしないのか教えて頂けないでしょうか?

    • SNOW より:

      今は、立場上東大数理の悪口などは書きづらいんですよね(笑)

      ですので、その質問にはお答えするのを控えますが、ただブログには昔から何度もかなり具体的に書いていますので、検索を工夫するなどして探してみてください。

  2. より:

    初めまして、東大化学系の学部新4年生で、再来年度からphd留学を考えているものです。

    色々記事を読ませていただきました。優上、優を両方4、良を3、可を2とおくと、駒場時代の成績は悪くGPAが3ちょうど、進振り後の学科の成績はGPAは3.81です。大学3年間今までの総合で見ると3.33です。

    英語に関しては過去に海外に住んでていたことがあり、なおかつ学科でのレポ執筆や勉強とテスト解答をすべて英語でやっているので英語で困ることはないと思われます。
    研究経験としては、2年生のころ駒場で半年、3年夏休みに1か月ほどインターンのような形で研究室にお邪魔させていただき、来年度からは研究室に配属されます。これらを総合して研究経験と研究へのモチベとして使えればいいなと思っています。

    研究経験やそれに基づく推薦状が重視されるので、相当ひどいGPAじゃなければそこで勝負できるという話を見たことがあります。(特に私の分野は)
    すのうさんは、別記事で有名な研究者からの推薦状じゃないと価値がないとおっしゃっていらっしゃいましたが、分野によって違うものなのでしょうか?また東大で教授としてそれなりに結果を出している先生だったら、世界的にはprominentな研究者なのでしょうか?

    私の学科の先生は全員かなり優秀であると聞いたことがありますが、私の所属する研究室の先生は、年齢的にも、学科のとある先生のように日本の研究者ランキングでトップ3に入るレベルの方ではありません。
    わざわざ海外に行くなら、分野におけるtop-tier以外の学校へ進学するつもりはありません。
    以上のことを踏まえて、もし志望するレベルに合格が可能そうなら、どういうことを強みにしたり、また何を補強するとよいなどアドバイスいただけませんでしょうか?

  3. SNOW より:

    すみませんが、所属も名前も名乗らずいきなり長々と質問のメッセージを送られても、どうしても真剣に対応する気になれないんですよね。。

    メールもしくはブログのお問い合わせ欄から、名乗った上でもう一度ご連絡ください。

  4. より:

    申し訳ありません。ブログのコメント欄で気軽に質問できるものかと思っておりました。失礼いたしました。

  5. SNOW より:

    いえ、もちろん質問するのは自由です!

    ただ、逆の立場になって考えてみてください。名乗りもしない人間からいきなり匿名で質問をされて、まともに対応する気になるかという話です。

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