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はじめに
筆者すのうは、25歳から30歳までの5年間アメリカに住み、結果英語は(non-native speaker としては)ほぼ完璧と言えるレベルで操れるようになりました。今では英語が「外国語」だという感覚は全くありません。
(必要な情報は英語で得ることも多いですし、数学に関しては読む、書く、聞く、話すの4技能全てにおいて英語の方が遥かに上です。日常会話も英語の方がずっと気楽です。)
加えて、幼少期の2年間はチリに住んだ経験があり(当時はスペイン語がペラペラでした)、30歳から32歳までの2年間はイスラエルで暮らしたので(英語で生活していたのでヘブライ語はあまり出来るようになりませんでした)、外国語というものをどうやって学んだら良いか、ということについては誰よりもよく分かっているという自負があります。
その僕の目から見て、日本の英語教育は恐ろしく非効率で無駄が多いので、効率の良い英語の学び方についてここにまとめておくことにします。
この記事は、既にある程度の英語力があり(具体的には日本の高校3年生のトップ10%程度)かつ真の英語の運用能力を身に付けたい、という人を主なターゲットとして書いていますが、英語を学ぶ全ての人の参考になると思います。
(自分で言うのもなんですが、ここに書いてあることを自分が中学生、高校生のときに知れたらどんなに良かったかと思います!)
一般的なこと
英語のまま理解すること!
語学は慣れです。日本語を介して英語を理解する、というアプローチは恐ろしく遠回りです。
(ただし初級者のうちは理屈で理解することも絶対に必要です。)
これを読んでいる人であれば既に十分すぎる量の精読を学校教育でやってきたはずです。それ以上の精読の訓練は不要です。
文法知識も、英語の先生か研究者になるのでもない限り小難しいものは全て不要です。そんなものは知っていても何の役にも立ちません。
5文型や仮定法などといった、高校一年生までに習うことがしっかりと分かっていればそれでお釣りがきます。
発音は正しく出来るように心がけること!
発音がしっかり出来ていると
- 相手がこちらの英語を聞き取りやすい
- こちらも相手の言っていることが聞き取りやすい
- 単語を覚えやすい
- ちょっとカッコイイ
など様々メリットがあります。
日本の(学校または塾予備校の)英語の授業では、実際に声に出して読む訓練を全くと言ってよいほどしないですし、正しい発音の仕方を教わることもほとんどないですが(というか教える側が全く出来ていないので教えられるはずがないのですが)、だからこそこれはなるべく早い段階で自分で意識して身につけるべきです。
特定の音を出すのにどう口を使うかなど、そういったことはどこにでも書いてあります。
そういったことを知った上で、音読する際にはなるべく聞いた音に近い音が出せるように繰り返し繰り返し練習しましょう。
発音は、習得にそこまで時間のかかるようなものではありません。意識して練習すれば、英語を学んで数ヶ月で普通の(日本人の)英語の先生より遥かに上手くなれます。
簡単な英文に大量に触れること!
腰を据えて集中して読まないと理解できないような文章に触れることもたまには必要ですが、それは本当にごくごくたまにで構いません。
語学というものはこれ以上ないぐらい楽に勉強できるものであって、またそういう風に勉強するべきものです。
パッと読んで意味が分かるレベルの簡単な英語に大量に触れましょう!
そして、ただ黙って読むだけでなく、リスニングや音読、暗唱もしっかりやりましょう!
単語はなるべく文脈で覚えること!
よく言われることですが、単語は文脈で覚えるようにしましょう。何度も文章を聞き黙読&音読をして、文章ごと覚えてしまいましょう。そのようにして覚えた単語は絶対に忘れませんし、またそのようにして覚えないと全く血肉になりません。
ところで、英検一級の一次やTOEFL英単語3800のレベル4に出てくる単語などは特に知っている必要はありません。実際に出くわすことはほとんどありませんし、native speaker ですら知らないこともあります(アメリカにいたときには実際にそういうことがありました)。
耳を使うこと!
上にも書きましたが、リスニングは非常に大事です。20〜30分程度でも良いので必ず毎日やりましょう!その際は日本語が一切入っていない教材を選びましょう。
(英語一文のあとにわざわざ日本語訳を流す教材が多いですがあれは時間の無駄です。)
そして、これも繰り返しになりますが、なるべく簡単なものを選びましょう。
目安は「ぼーっと聞いていても意味が(ほぼ)完全に分かること」です。
語学の勉強に頭を使う必要は全くありません(初学者は除きます)。頭を使うのは他のことにとっておきましょう。
情報はなるべく英語で得るよう心がけること!
これは must ではないですが非常にオススメです。
とはいっても、politics とかそういった記事を無理に英語で読む必要は全くありません。
(そういうものは無理せず日本語で読みましょう。何度も書きましたが英語は楽に学べるしまたそうやって学ぶべきものです。)
そういうことではなく、たとえばイグアナの飼い方とか異性の口説き方とかベッドでの正しい振る舞い方とかあとは若くして AGA を発症したときにはどうするかとか、そういう自分が興味のあることを英語で調べる癖をつけておきましょう、ということです!
興味があることなら苦もなく楽しく読めますよね。
学習教材
ここでは、英語を学ぶのにオススメの教材の紹介をします。
Speaking
Reading, Listening, Writing の3つは独学で全く問題ありませんが(というよりそれらは人に教わるものではなく自分で勝手にやるものです)、唯一 Speaking だけは自分一人の学習では限界があると思います。暗唱や音読の訓練を膨大にこなすことでもある程度まではいきますが、やはりこれだけは実際にコミュニケーションの経験を積む必要があるでしょう。
最近まではスクールに行くぐらいしか方法がない、と思っていましたが、2019年に東北大に赴任したときに考えが変わりました。カフェ英会話のような、それこそドリンク一杯程度の参加費で英語が話せる場が Facebook などのツールを用いればたくさん見つかります。そういったものに積極的に参加すると良いでしょう。
Writing
上達には実戦あるのみです。語学の勉強はいつだってインプットに比べアウトプットが圧倒的に不足するものなので、自分で意識してアウトプットの機会を増やしましょう。
具体的には、Facebook でもブログでもなんでもいいですから、英語で毎日日記を書いてみることを勧めます(別に何も人に公開する必要はありません)。
その際、当然ある程度は文法等には気をつけて書くべきですが、気にしすぎて手が止まってしまっては本末転倒です。これを読んでいる人であれば、多少表現が変だったとしても自分の言いたいことが読み手に(大体)伝わるぐらいの文章は書けるはずです。
少々の細かい間違いなどいちいち気にすることなく、とにかくひたすら量をこなしましょう!(別に添削を受ける必要はありません。)
言い訳ばかりして何もしないのが一番ダメです(人生と同じです)!
Listening
教材はそれこそ無数にあるので何を紹介するか迷いますが、とりあえず Duo や Z会が無限に出している教材をやっておけば間違いないです。色々な教材に手を出しても良いですし、気に入ったものをしっかりと使い込むのでもどちらでも構いません(そういうのは好みのやり方でどうぞ)。
ただし何度でも言いますが、聞いたときにパッと意味が分からないようならその教材はレベルが高すぎます。「こんな簡単で良いのだろうか」と不安になるぐらい簡単なものを選びましょう。
(もちろんたまに難しい教材を使うのは構いませんがそれをメインに使用することは避けましょう。)
a) 速読速聴・英単語 Basic
Z 会が無限に出しているものの1つです。CD がついています。
b) 速読速聴・英単語 Daily
同じシリーズです。
c) 速読速聴・英単語 Core
中級、とありますが上級者がリスニングに使って全く問題ありません。
d) Duo 3.0
鉄板です。一文ずつになっているので、暗唱、音読をする教材として非常に優れています。(言うまでもないと思いますが必ず CD も買いましょう。)
Reading
これも無限にありますが、例えば以下を勧めます:
a) テーマ別英単語 Academic 初級
初級、となっていますが、十分上級者が Reading に使えるものです。
b) テーマ別英単語 Academic 中級(人文・社会科学編)
このシリーズはなかなか面白い記事が多いです。
c) テーマ別英単語 Academic 中級(自然科学編)
自然科学編です。
その他、洋書を読むことを勧めます。
ただし、くどいようですが、気軽に読めない本は絶対にやめましょう!
大人が読む本や古典文学を辞書を使って読むのは苦行にしかなりません。
(何度でも言いますが、語学の勉強はひたすら楽して行うべきものです。ハチマキをして腰を据えて学ぶようなものではありません。そういう勉強法は間違っています。)
とは言っても、読みやすく面白い本はなかなかありません。
(今の僕ですらヤングアダルト向けの本などは気軽にさらっと読めるものばかりではありません。大人向けの本ならなおさらです。)
ですので、気に入った本があれば何度も読み返せば良いと思います。ここでは、僕が実際にそうやって読み込んだ本の紹介をします。
a) The Saga of Darren Shan(全12巻)
イチオシです。英語の勉強に洋書を一冊紹介してくれ、と言われれば一ミリも迷うことなくこれを勧めます。非常に読みやすく書かれた傑作です。
b) The Saga of Larten Crepsley(全4巻)
Darren Shan シリーズの外伝です。Darren の師である Crepsley の若き日の物語です。
c) Harry Potter シリーズ(全7巻)
説明は不要ですね。Darren Shan シリーズ程ではないですが読みやすいです。
d) Deltora Quest シリーズ(全8巻+続編)
ゲームみたいなタイトル&表紙なので敬遠していましたが読んでみると非常に面白いです!
e) Twilight Saga(全4巻)
ひと昔前に大流行りした本です。表現が少々稚拙な印象を受けるのですが、逆にそれゆえ non-native speaker には読みやすくなっています。個人的にはそこまで面白い本だとは思いませんが何度か読みました。
f) Something Borrowed & Something Blue
30歳弁護士の女の子が主人公です。主人公が親友 Darcy の fiance である Dex と一夜を共にしてしまうところから物語がスタートします。主に女性をターゲットにしている本だと思いますが、男性が読んでも非常に面白いです!傑作です。続編では Darcy が主人公です。そっちもオススメ!^^
g) The Notebook
Z 会の Academic シリーズでこの本の一場面が出てきたので気になって読んでみました。
h) Dear John
上の The Notebook と同じ著者によって書かれたものです。この著者のラブストーリーはどれも純愛系で好き嫌いは分かれそうですが僕は好きでした。