Opinion

戻ってきました。

さて、5日間の京大での conference も終わり、無事仙台に戻ってきました。

相も変わらず、仙台もこの東北大学 AIMR の position も本当に素晴らしいです!文句のつけようがありません。

あと半年でお暇しなくてはいけないのが本当に残念です。せめて1年はいたかったんですけれどね。

まあ、Michigan で素晴らしい業績をあげて戻ってくればいいだけの話だし、たとえもしそれが出来なかったとしてもその後でもいくらでもチャンスはあるし(僕は大器晩成型なので ^^)、だから仙台をゆっくり味わうのはまたあとのお楽しみにとっておきましょうか(笑)


・・・さて、ところで、京大での conference ですが、これは本当に有意義でしたね!

自分の talk もやってそして色々な人と話せたので知り合いもたくさん出来たし、その過程でなかなか面白いかもしれない problem も見つかったし、そして京大の先生には8月の末にある Fractal Geometry の研究集会に招いてもらったし、とにかくものすごくたくさんの収穫がありました!

多分、Michigan に行くまでにあと7、8回ぐらいは conference や seminar talk などで他大に行って話す機会がありそうなので、いやはやいやはや、本当にこの東北大 AIMR に来たのは大大大正解でしたね!(書いていなかったですが、research の方でも T 先生と一緒に何かやれそうな感じですし。)

一年前は、まさか一年でここまで事態が好転するとは夢想だにしなかったですが(いずれは好転することは分かっていましたが数年ぐらいかかるような気がしていました)、まあアレですね、いつも言っていますけれど、つくづく人生は糾える縄の如しですね。


・・・さて、ところで、こうして日本に戻ってきて日本のアカデミアにちょっと触れてみて、色々と思うこともあるのでちょっとそれについて。

まず、(これはもちろん一般論ですが)Ph.D. と postdoc(今は non-tenure track の職全てを指して postdoc と言っています)に限れば、7年前から1億2千3百万回ぐらい書いているように、100%全てにおいてアメリカが勝ると思います。僕の目から見て(誇張ではなく本当に)日本の方が優れているものはゼロです。


・・・なんですが、professor になるならどちらが良いかというと、これはひょっとすると日本の方が良いぐらいかも知れないです。

日本の方が grant は遥かに取りやすいし(多分アメリカの100倍ぐらい楽です、アメリカでは UC Irvine レベルの professor ですら結構取れないので)、国が小さいから collaboration するのも簡単だし(アメリカでは国内でも移動で1日潰れます)、大学にも依りますがそこまで duty が多いわけでもないし(アメリカの一流大の数学者は皆フィールズ賞クラスですがそれでも teaching duty はかなりあります)、ここ AIMR のような duty のほとんどない position も少しはあるし(アメリカにもわずかにありますがそこの position を得るのはフィールズ賞を取るより難しいです、つまり端的に言えば不可能です)、だから決して悪くないです。

そして、たった1人で世界を廻った経験を持ち、才能の欠片もなく努力だけで叩き上げたような、声もデカくて批判を恐れず言いたいことを言うような、そういう僕のような人間は日本のアカデミアにはまずいないので(というか本当に1人もいないでしょう)、だから本当に、日本の方が自分に合っているような気もするんですよね。僕のような人間が日本のアカデミアには必要だと思います。

(もちろん一流の業績をあげてからの話です、今はまだカス以下なので。)


・・・そう、そういえば、随分たくさんの日本人数学者に

「アメリカで professor になった方が良いと思う、アメリカの方が研究環境がずっと良い」

のようなことを言われましたが、これは正しくないと思います。

上にも書いたように、アメリカでもそこまで研究環境が良いわけではないです。授業負担は多いし grant は取りづらいし、UC Irvine レベルの大学でも tenure を取るのは東大で tenure を取るより10倍ぐらい難しいのにも関わらず学生のレベルはかなり低いし、いろいろと teaching 以外でも duty があるし、優秀な数学者は多くても国が広いから collaboration するのも一苦労だし、とにかく大変です。

だから、僕に言わせれば、アメリカの数学者と日本の数学者で研究実績に大きな大きな開きがあるのは、それは研究環境の差といったマイナスファクターがあるからなどでは全くなく、ただ単に数学者としてのレベルの差がそのまま現れてるだけです。ただそれだけです。



・・・さて、書き漏らしたことはたくさんありますが、今日はもうこのへんで失礼します!


ではではー☆

POSTED COMMENT

  1. 江ノ島 より:

    私は大学院で数学を専攻してますが、将来は欧米でtenureを得るのが目標でした。よくアメリカは日本より研究に注ぎ込める時間が多いと聞きましたが、それは迷信なんですね。

    私の学部時代の指導教員(講師)は1週間に5コマ(火、水、金)しか授業がないので楽だと言ったました。
    もしかしたら日本でも場所を選べば研究環境は比較的良いのかもしれませんね。

    ありがとうございました。

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